会計帳簿や伝票など、誤って記載した場合に便利なのが「訂正印」です。
修正箇所の上から二重線を引き、訂正印を押してから正しい内容を記載する…というのが基本的な使い方です。印を押すことにより、「間違いなく訂正した」と証明できます。
しかし、例えば文面から字句が抜けていた場合、どのように記載し訂正印を押せばいいのでしょうか。
また、訂正するスペースが足りない場合はどう対処すればいいのかなど、さまざまなケースがあります。
そこでこの記事は、訂正印の正しい押し方について紹介します。書類の訂正方法が具体的に分かる内容になっているので、ご覧ください。また、訂正印のおすすめのサイズや材質の他、購入できる店舗についても紹介しています。
※訂正印は、「1・正式な訂正印」と「2・小さいサイズの訂正印」の2種類があります。
「1」は、契約書など重要書類を訂正する場合に使うもので、その書類に押した印鑑(実印や銀行印など)と同じもので訂正をおこないます。一方「2」は、会計帳簿や伝票、一般的なビジネス文書などに用いるものです。本記事では「2・小さいサイズの訂正印」について解説しています。
訂正印を文書に押す場所は?スペースがないときはどうすればいい?

小さいサイズの訂正印は主に簿記用として使いますが、他にも社内用の書類などにも使用できます(重要書類は除く)。このとき、誰がどのように訂正・削除・追加したのかを明確にするため、押し方に一定のルールがあります。
それでは5つのパターンに分けて、訂正印の正しい押し方を紹介しましょう。
①横書きの文字を訂正する場合
②横書きの文字を追加する場合
③横書きの文字を削除する場合
④縦書きの場合
⑤訂正印を押すスペースが修正箇所の近くにない場合
①横書きの文字を訂正する場合
1、訂正したい文字を二重線で消します。
2、二重線の上側に正しい文字を書き、二重線の上または近くに訂正印を押します。
②横書きの文字を追加する場合
1、文字列の中に文字を追加するとき、文字が抜けている箇所にくさび形の記号「∨」を書きます。
2、「∨」の上に追加文字を記載し、その隣に訂正印を押します。
③横書きの文字を削除する場合
1、削除したい文字の上から二重線を引きます。
2、二重線の上に訂正印を押します。
※横書きの場合、上側に訂正するスペースがないときは下側のスペースで訂正しても構いません。
※削除した文字数と書き加えた文字数を書くと、より丁寧です。削除した文字の場合は「削除」または「抹消」と、追加した文字の場合は「追加」または「加入」「加筆」と記載します。(例:「4文字削除 5文字追加」など)
※数字の訂正も手順は同じです。削除したい箇所に二重線を引き、上側などの空きスペースに正しい数字を記載して訂正印を押します。金額を訂正する際は、不正防止のために数字の頭に「¥」、末に「-」の記号を入れると分かりやすいでしょう。削除と加入の文字数を書き込む場合、句読点や記号も1文字としてカウントします。
④縦書きの場合
基本的に横書きと同じ手順で訂正をおこないます。
・訂正…間違えた箇所に二重線を引き、その右側に正しい文字を記載して訂正印を押します。
・追加…文字が抜けている箇所に「{ 」や「<」の記号を入れて追加文字を記載し、横に訂正印を押します。
・削除…削除したい文字の上から二重線を引き、上に訂正印を押します。
※横書きと同様、削除した文字数と書き加えた文字数を書くと、より丁寧です。削除した文字の場合は「削除」または「抹消」と、追加した文字の場合は「追加」または「加入」「加筆」と記載します。
⑤訂正印を押すスペースが修正箇所の近くにない場合
訂正箇所の近くに訂正印を押すのが理想ですが、もしもスペースがなければ書類の空いている箇所に押します。
その横に、削除した文字数と書き加えた文字数を書き入れます。
その他、書類に2名以上の署名捺印がある場合は、全員分の訂正印が必要となるので気を付けましょう。
また請求書においては、金銭のやりとりに関わる書類のため、高い信頼性が求められます。なるべく訂正印を使用せず、書類を再発行するのが賢明です。
P訂正印を押すイメージ
訂正印の一般的な大きさとは
会計帳簿や伝票などに使う訂正印のサイズは認印よりも小さく、直径6mm前後のものが一般的です。
訂正する箇所の上側や右側に押すため、限られた余白にも対応できる小さなサイズが推奨されています。
直径10mm前後の認印を訂正印代わりに使用することもできますが、訂正箇所に押す際に文字や線に重なって、見えづらくなる場合があります。

訂正印の形状は、楕円形(小判型)や丸型があります。印面は認印と同様に姓(名字)のみのタイプが一般的です。
印面に用いる書体は、古印体や隷書体、楷書体など文字の判読がしやすい書体を選ぶといいでしょう。誰が修正したか、ひと目で分かるからです。
画数の多い姓だと読みづらくなる可能性があるので、上に挙げた視認性のよい書体から探すのがベターです。
訂正印の材質は、木製の柘(つげ)や黒水牛、金属のチタンなどがあります。
訂正印にシャチハタを使ってもOK?
朱肉を使う「印鑑タイプ」ではなく、インクが内蔵されたシャチハタ(浸透ネーム印)タイプを、訂正印に使いたいという人もいるでしょう。
簿記用などの訂正印として使うことは可能で、実際に6mm幅のシャチハタタイプも数多く流通されています。
中には、キャップレスで使える便利な商品もあるので、より訂正作業がしやすくなります。
ただし、重要な公的書類にはシャチハタ(浸透ネーム印)タイプが使用できない場合があるので、ご注意ください。
訂正印ってドンキにもある?購入できる店舗は

訂正印は、どこに行けば売っているのでしょうか。ここでは「印鑑タイプ」の他、シャチハタ製品や他社製品を含めた「浸透ネーム印」の取扱店を紹介します。
【印鑑タイプ、浸透ネーム印タイプの訂正印を販売している主な取扱店】
※一部取り扱いのない店舗もあります。
・ホームセンター
・ショッピングセンター
・生活雑貨店
・家電量販店
・百貨店
・書店
・文房具店
・印鑑専門店
・通販サイト
生活雑貨店のカテゴリーでは、ドン・キホーテや東急ハンズやロフトなどで販売されています。
ドン・キホーテでは、店に設置されている「はんこ自販機」で訂正印を購入できます。
ショッピングセンター・百貨店・書店は、印鑑売り場を併設している店舗の場合、取り扱いがあります。
品ぞろえが豊富なのは、印鑑専門店・文房具店・通販サイトです。既製品の他、珍しい名前にも対応してくれます。
印鑑の匠ドットコムでは、柘(つげ)や黒水牛を素材にした訂正印を取り扱っています。
またインク入りの浸透印として、シャチハタやブラザーの訂正印もラインナップしていますのでご検討ください。
社会人なら訂正印の押し方を覚えておこう
ここまで、訂正印の正しい押し方などについて紹介しました。
訂正印は、事務用途で使うニーズが高い印鑑です。訂正のルールは、横書き・縦書きの文書であれ、基本的に変わりません。
法律での明確な定めはありませんが、不正行為がおこなわれないよう、正しい方法で訂正印を使いましょう。
朱肉を使う印鑑タイプや、インクが内蔵された浸透ネーム印タイプ、どちらも訂正印として使用できます。