金属印材の定番
近年では、印鑑に使われる素材もさまざまなものが出てきました。従来は朱肉のつきが良く長持ちする印材である黒水牛が主流でしたが、最近では宝石や様々な樹木などの他、ここで紹介するチタンのような金属で作られた印鑑も登場しています。
チタンは印鑑の金属材料としては最も有名なものです。軽量であること・耐久性(耐食性・耐熱性)に優れることが特徴で、インプラントや人工骨などの医療用、ピアスや指輪などのアクセサリーなどに使われます。金属アレルギーなどの問題が起こりにくいところも長所の一つです。
また、朱肉のつきがよいのも印材として優れている点です。黒水牛など天然素材の印鑑は使い込まなければ朱肉をはじくことがあるのに対し、チタンの印鑑は使用開始時からくっきりと鮮明な印影を出すことができます。チタンは軽量な金属であるため重量も適度で、これが綺麗に押印するために適度な圧力を与えてくれます。また、落としても欠けたり変形しないのも長所で、認印だけでなく銀行印や実印などにも幅広く愛用されています。
チタンは天然素材の印鑑とは違い手彫りで彫刻することができません。製作は機械彫りのみになりますが書体などは選ぶことができますし、注文された印鑑ごとに印影を決めて製作してもらえますので、同じ人が作った印鑑であっても同じ印影のものができてしまう心配はありません。
印鑑に使われているチタンは99.6%のものがよく使われます。時折99.9%と表記されていますが、99.9%だと基本的に彫刻ができないほど堅いです。数値に関してはあまり気にしなくていいと思います。
チタン印鑑の種類
チタン印鑑を選ぶ際に加工の種類を知っておきましょう。大きく「生」「ミラー」「ブラスト」の3つの加工方法にわけられます。 「生」はチタンそのもので特別な加工を施しておらず、安いチタン印鑑にはよくありますが、商品としてはあまりお勧め致しません。 「ミラー」の場合は鏡面加工をしたタイプになります、きれいですが指紋などが付きやすいという欠点があります。 最後の「ブラスト」はつや消しタイプになります。指紋が付きにくく一番お勧めの加工法です。
加工性の高さ
チタンは加工がしやすい金属なので、デザインやカラーリングも比較的自由に選ぶことができます。例えば、鏡面仕上げにすると鏡のように綺麗な銀色の印鑑を作ることができますし、逆に表面をざらざらにしていぶし銀のな渋い輝きをもつ印鑑を作ることもできます。ブルーやイエローなどの色素を混ぜ合わせたカラーチタンもあり、ファッション性の高さから、普段使いの認印などに利用するケースもよくあるようです。
また、アタリに色々なカラーのクリスタルなどを埋め込んでジュエリーのように美しい仕上がりにしている印鑑もあります。一度作ると半永久的に作り直す必要のない強靭な印材ですので、特に実印や銀行印のように長期的に使用する場合にこの材料を選ぶ人は少なくありません。
価格も水牛などに比べると安く、品質も安定していますので、今後も需要が高まりそうな印材の一つです。取り扱っている店舗はたくさんありますが、表面仕上げやアタリのデザイン、カラーなどは店舗によって特徴が異なってきますので、購入するときには自分好みのデザインがあるかどうかをチェックしてから決めましょう。機械彫りの場合は納期が非常に早いのも魅力ですね。