私たちが生活する上で欠かせない印鑑。子どもの頃は親が本人に代わって手続きをしてくれるので、印鑑に直接触れる機会は少ないかもしれません。
しかし就職活動をしたり、社会人になったり、親元を離れて一人暮らしを始めたりすると、書類での手続きが増え、印鑑が求められます。印鑑の予備知識がないと、「急に言われても、どんな種類の印鑑を用意すればいいの?」、「何個ぐらい必要なの?」……と戸惑ってしまいますよね。
そこでこの記事は、個人が揃えておきたい印鑑について紹介します。これを読めば、急に印鑑が必要になった時も慌てずに用意できるはず。ぜひ最後までご覧ください。
個人が必要な印鑑って何?
ここからは、それぞれのシーンで使われる印鑑について具体的に紹介します。
記事の冒頭でも書いたように、個人が印鑑を使い始めるのは、就職活動時や社会人になったとき、一人暮らしをするときなどがあります。また、結婚や家を購入する際にも印鑑が必要です。
【就職活動で必要な印鑑】…認印
就職活動では、履歴書を作成するときに印鑑を用います。「本人が間違いなく履歴書に記載した」ことを証明するためです。履歴書に「印」マークの押印欄があるなら、就活者本人の姓の印鑑を押しましょう(履歴書のフォーマットによっては押印欄が無いものもあります)。
実は政府が定めた「押印ガイドライン」によると、履歴書への押印について「押印を求める必要性や実質的意義が乏しく、押印を廃止しても支障のないものは廃止し、記名のみでよいこととする」としています。履歴書への押印は、必ずしも必要ではないということです。
とはいえ、法的に要らなくても、企業によっては押印済みの履歴書を求められるケースがあります。この場合、就職試験の選考にも関わるので、就活者は必ず印鑑を押しましょう。
履歴書には認印を使うのが一般的です。認印は荷物の受け取りや引越しにともなう転出・転入届の手続きなど、日常的に使われています。印面は「姓のみ」とし、古印体や楷書体など相手にも読みやすい書体にします。
気をつけたいのが「シャチハタ」と呼ばれるインク内蔵式のスタンプです(浸透印とも言います)。認印の代わりに使うことが多いですが、履歴書への押印は避けましょう。応募書類に用いるものとしては適さないので、必ず認印を使うようにしてください。
【社会人になったときに必要な印鑑】…銀行印、認印
社会人になると、給料の振り込み先として会社から銀行の口座開設が求められます。そのときに必要なのが銀行印です。
銀行印は、銀行など金融機関に届出をしている印鑑のことで、銀行の名義・住所変更にも使います。印面は「姓のみ」や「下の名前のみ」で横書き(右から左)にして作ることが多いです。縦書きの実印や認印と区別がしやすいからです。姓のみではなく「フルネーム」でも銀行印として登録できます。実印と混同しないよう、小さなサイズで作るのが一般的です。
また、社会人になったら職場での回覧文書用などで使う認印を用意しておきましょう。認印の代わりに「シャチハタ」の使用をOKとする会社もあります。
【一人暮らしをするときに必要な印鑑】…実印、銀行印、認印
マンションを借りて一人暮らしをするとき、手続きの際に印鑑が必要です。賃貸借契約を交わすとき、不動産会社によっては実印を指定されることがあります(認印を可とする場合も)。また、家賃の引き落としで銀行口座が必要になるケースが多いので、銀行印も用意しましょう。
婚姻届に押す印鑑は?
【結婚や入籍に必要な印鑑】…実印、銀行印、認印
結婚や入籍に合わせて必要な印鑑は、新姓の実印、銀行印、認印です。引っ越しに伴う転入届や銀行口座の名義変更など、多くの手続きで使います。できるだけ早い段階で新しい印鑑を用意しておくと安心です。
実印は一戸建てやマンションの購入などに必要です。銀行印は銀行口座やクレジットカードの名義・住所変更などに、認印は引っ越しに伴う転出・転入届に使います。また、宅配便の受け取りや簡易な契約書には認印が必須となります。
注意点として、印鑑を旧姓からパートナーの姓に変えると、それまでの旧姓の印鑑では手続きができなくなります(婚姻届など)。「使わなくなったから」と言って処分しないように気を付けてください。
ちなみに婚姻届の押印は任意で、個人の意思に委ねられます。実印、銀行印、認印のいずれも使用できますが、ゴム印など変形しやすいもので押すのは避けた方が無難です。
実印、銀行印、認印を用意しておくと安心
実印は印鑑条例で「1人1点しか登録できない」と定められているので原則1本。一方、銀行印は1本でも構いませんが複数の銀行口座があれば、各銀行ごとの印鑑を用意することも可能です。これにより、万が一盗難に遭っても悪用されるリスクを最小限に抑えることができます。また認印も1本で問題ありませんが、お仕事で使われる方等は自宅用や職場用など、シーンごとに使い分けられるようにしておくと便利です。
印鑑は突然、必要に迫られて買うことがほとんどです。いざ必要になったときも慌てないよう、今のうちにどんな印鑑を用意しておけばいいかチェックしておきましょう!