コロナ禍をきっかけに増えつつある個人事業主やフリーランス。リモートワークが当たり前の今、個人事業主やフリーランスの活躍の場は、今後もどんどん広がっていきそうですね。
会社から独立して、個人事業主やフリーランスとして活動するには多くの準備が必要です。
中でも「印鑑」はビジネスをおこなうのに欠かせないアイテム。しかし、「具体的にどんなものを用意すればいいの?」「すでにある実印や認印を使ってもいい?」など、疑問に思う方は多いでしょう。
そこでこの記事は、個人事業主やフリーランスが仕事の際に持っておきたい印鑑について、詳しく紹介します。
個人事業主とフリーランスが必要な印鑑はこれ
個人事業主とフリーランスが必要な印鑑は、「個人の場面で使うもの」と「対外的な仕事の場面で使うもの」に分けられます。順番に見ていきましょう。
個人の場面で使うもの
【実印】
住民登録のある市町村役場に登録した印鑑のこと。自治体がその持ち主を示す証明書(印鑑証明)を発行してくれます。自動車の購入や事業所の賃貸契約などの手続きをする際は、事業主個人の実印と実印の印鑑証明が必須になります。
個人事業主の場合、法人のような会社の実印を必要としません。そのため、個人で印鑑登録を済ませた実印があればその実印を使い、手元になければ新たに実印用の印鑑の作製と、印鑑登録の手続きが必要となります。
【銀行印】
銀行など金融機関に届出をしている印鑑のこと。個人事業主の場合、事業用の銀行口座開設に必要で、個人名の銀行印を登録します。
プライベートの銀行印をそのまま利用することもできますが、ビジネス用と分けることで、入出金の管理が明確になるメリットがあります。銀行印を作製する際は、プライベート用と区別しやすいよう、サイズを一回り大きくする、印鑑の材質を別のものにしておくといいでしょう。
【認印】
様々な手続きで必要なのが認印。開業届や確定申告、各種申請書などの押印に使います。認印は仕事をおこなう上で出番が多い印鑑なので、プライベート用とは別に作製するのがお勧めです。
対外的な仕事の場面で使うもの
【代表者印】(認印としての使用)
代表者印とは、会社の設立時や登記申請、正式文書など重要な契約時に使用する、「法人用の実印」です。形状は丸印が一般的で、印面の内側の中心部分には「代表取締役之印」などの文字が、外側には会社名などが外周に沿って入ります。
会社を設立していない個人事業主やフリーランスの場合、法人登記の際に用いる代表者印は必要ありせん。
ただし代表者印を「認印」として作り、普段の業務で使用することは可能です。その場合、印面の内側の中心には「代表之印」などの文言を、外側には屋号やショップ名を入れます。重要な契約などで使うことで、相手の信頼が得やすくなるでしょう。
【角印(会社印・屋号印)】
角印は、会社などの法人名が印面に入った会社用の「認印」として使われます。見積書や請求書、領収書など、社外に対して発行する文書に押印します。
個人事業主やフリーランスが、個人用の認印を法人の角印のように使用することもできます。角印を作製する場合、印面に屋号やショップ名を入れます。用途は法人用の会社印と同様に、見積書や契約書など対外的に発行する書類に押します。角印にすることで見栄えもアップしますね。
先ほど書いたように、代表者印や角印は必要とはしません。ただし、こうした印鑑を活用することで、取引先に「このフリーランスなら安心できる」という印象を与えられ、ビジネスが有利に働くことが期待できます。
個人事業主とフリーランスの定義って何?
個人事業主とフリーランスは、「企業や団体などと雇用関係がなく、独立して仕事を請け負う人」のことを言いますが、両者には明確な違いがあります。
「個人事業主」とは、個人で事業をおこなうために税務署に開業届を提出している人を指します。これは事業主1人のみで事業をおこなう場合だけでなく、家族や雇用した従業員などと複数で事業をおこなう場合でも、法人でなければ個人事業主として分類されます。
一方「フリーランス」とは、開業届を提出せず、単発の仕事ごとに契約を結んで業務をおこなう人のこと。フリーランスとして働いている人が税務署に開業届を出すと、「個人事業主」になります。
つまり、個人として開業届を出して事業をおこなう人が「個人事業主」、開業届を出していない人が「フリーランス」というわけです。開業届の手続きには認印が必要です。プライベートで持っている認印でも代用できますが、申請書など今後様々な場面で必要になるので、この機に新しく作っておくといいですね。
印鑑はプライベート用とビジネス用に分けよう
ここまで、個人事業主やフリーランスが仕事の際に持っておきたい印鑑について紹介しました。
個人事業主やフリーランスの仕事で必要な印鑑は、
〈個人の場面で使うもの〉
実印・銀行印・認印
〈対外的な仕事の場面で使うもの〉
代表者印(認印として使用)・角印
となります。個人の場面で使う銀行印や認印は、すでに持っているプライベート用のものを使うこともできますが、「仕事とプライベートの混同を防ぐ」「入出金の管理を明確にする」ためにも、ビジネス用の印鑑を新調するのがベターです。
ハンコ社会の日本では、ビジネスの世界においても印鑑が欠かせません。手続き上で必要になるだけでなく、取引先と信頼関係を築く際にも大切なアイテムとなります。
これから独立する個人事業主やフリーランスの方は、どんな印鑑が必要になるのか事前にチェックしておきましょう。