会社設立の際に必要になる印鑑とは?

「自分の会社を持ちたい」、「独立したい」……と、起業に意欲を持つ人は少なくないでしょう。近年はインターネットやクラファンサービスが普及しており、起業の門戸は広く開かれているようです。

会社を設立する際には多くの手続きが必要ですが、印鑑も手続きに欠かせないアイテムの1つ。とは言え、印鑑には様々な種類があります。具体的にどのような印鑑を揃えればよいのでしょうか。

そこでこの記事は、会社設立の際に必要な印鑑について紹介します。将来、起業を考えている方はぜひご覧ください。

法人登記には代表者印が必要

会社を設立するには、まず社名や所在地、資本金、事業目的、株主と役員の構成などの概要を決めなくてはいけません。

こうした準備を整えた後、法務局で法人登記をおこないます。ここで必要となるのが「代表者印」です。

代表者印とは、登記申請や株券発行、正式文書など、重要な契約時に使用する印鑑のことで、言わば「会社の実印」にあたります。

気を付けたいのが、代表者印用の印鑑をハンコ屋さんで購入しても、代表者印としての効力はないということ。法務局に印鑑届書を提出し、会社の実印として印鑑登録をすることで効力が生まれます。

なお、法務局ではオンラインでの法人登記も可能で、その場合、印鑑届書の提出が任意となります。しかし印鑑届書の提出が不要とは言え、代表者印は取引先と契約を結ぶ時など様々な場面で必要です。オンラインで登記をする場合でも、代表者印は必ず作っておきましょう。

代表者印のおすすめの材質は?

代表者印を印鑑登録するには、いくつかの注意点があります。

まず印面のサイズは「辺の長さが1cmの正方形に収まるもの、または辺の長さが3 cmの正方形に収まらないものであってはならない」(商業登記規則第9条)とされています。規定外のサイズでは登録できないので、ハンコ屋さんで注文する際は、「会社の代表者印を作ってほしい」旨をはっきり伝えましょう。

代表者印の形状は円形が一般的で、直径16.5mm、18mm、21mmなどのサイズがよく使われています。

円形内側の中心部分には縦書きで「代表取締役印」などの役職名が、外側には法人名が外周に沿って入ります(役職名を入れずに法人名のみを縦書きで入れる場合もあります)。役職名の内容は、法人格の形態によって異なります。下記の一例を参考にしてください。

※「印」の文字の前に「之」を入れることもあります。

法人設立イメージ

・株式会社…代表取締役印

・有限会社…代表取締役印、取締役印

・合資会社…代表者印

・合名会社…代表者印

・合同会社(LLC)…代表者印、代表社員、代表社員印、代表職務執行者之印、業務執行社員之印

・有限責任事業組合(LLP)…代表者印、有限責任事業組合員印、有限責任事業組合員

・NPO法人…代表理事之印、理事長之印

・一般社団法人…代表理事之印

・公益社団法人…代表理事之印

・一般財団法人…代表理事之印

・公益財団法人…代表理事之印

外側に彫る法人名は漢字、平仮名の他、カタカナや英字でも構いません。最近は英字の表記の法人名も増えていますが、彫刻する文字については大きな決まりがなく、自由に表記することが可能です。

代表者印は、会社の実印として末長く使い続けるものなので、耐久性に優れた材質がおすすめです。チタンや黒水牛、黒彩樺など、丈夫な素材のものを選ぶようにしましょう。一方、変形しやすいゴム素材ものや、朱肉を使わない浸透印タイプは代表者印として適していないので、注意が必要です。

印面に彫る書体は、「篆書体(てんしょたい)」や「印相体(いんそうたい)」がよく使われています。どちらも風格がある書体です。また、判読しにくいため偽造防止にも効果的と言われています。

会社設立時に用意したい印鑑

会社設立時に代表者印は必須ですが、他にも準備しておきたい印鑑があります。それは「銀行印」と「角印」。

「銀行印」は、法人用としての銀行口座開設に必要です。経理担当者が預金を引き出したりする場合などに使います。重要な印鑑ですので、代表者印で併用せず別々に用意しましょう。

銀行印の形状は代表者印と同様、円形が一般的です。区別がつきやすいよう、代表者印よりも小さいサイズにするのがベター。円形内側の中心部分には縦書きで「銀行之印」といった文言が、外側には法人名が外周に沿って入ります。

「角印」は四角い形状の印鑑で、「会社印」と呼ばれることもあります。請求書や領収書など社外に対して発行する文書に押すときに使います。サイズは一辺が18㎜、21mm、24mm、27mmの正方形のハンコを使うことが多いです。

角印には法人名のみを彫刻します。文字のレイアウトは縦書きが一般的ですが、カタカナや英字の法人名は横書きにするといいでしょう。その場合の文字の並びは、捺印時に左から右へ流れるのがセオリーとされています。

代表者印の準備はお早めに

ここまで、会社設立の際に必要な印鑑について紹介しました。

会社設立時に必須となるのが「代表者印」です。法務局で法人登記をおこなう時や、株券発行、重要な契約時に使用する印鑑ですので、忘れずに準備しましょう。法人名や代表者が決まった時点で、専門のハンコ屋さんに注文すると安心です。

また、銀行口座の開設に用いる「銀行印」や、請求書や領収書などの社外文書に押す「角印」も、早めに揃えておきたい印鑑です。

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