日本国内に居住する外国人にとっても、印鑑・はんこは欠かせないアイテムです。家を買う、銀行口座を作るなど、用途に応じて印鑑が必要になります。
しかし印鑑は日本ならではの文化。印鑑が必要と言われても、どのように作ればいいか分からない外国人は多いでしょう。名前はカタカナでもいい? サイズは? 100円ショップの印鑑を使ってもいいの? ……など疑問だらけだと思います。
そこでこの記事は、外国人が印鑑・はんこを作る時に気を付けるポイントについて解説します。最後までご覧ください!
外国人の銀行印はアルファベットでもカタカナでもOK?
日本に居住する外国人の数は年々増えており、労働者の数だけを見ても182万2,725人と過去最高を更新しています。
※厚生労働省が発表した「外国人雇用の届出状況」より(令和4年10月末時点)。
労働者や留学生など、日本に住む外国人は、日本人と同様に住民登録や銀行口座開設が必要です。そして、それらの手続きには印鑑も関わってきます。
銀行印を作る場合
外国人が銀行預金や郵便貯金などをする場合は、銀行印を作って金融機関に届出をしなくてはいけません。
銀行印を作る際、明確な決まりはありません。名前の部分がアルファベットでもカタカナでも漢字の当て字(例:ジェームス→慈英夢須、ティナ→天鳴、など)でも、多くの金融機関で登録できるようです。
※金融機関によって対応が異なる場合もあります。
サイズは直径12~13.5mmの丸印が一般的ですが、アルファベットの文字数が多いと大きなサイズが必要になります。
※「丸印」とは真っ直ぐで、てっぺんが丸みを帯びたはんこのことで、印面(文字が彫られたはんこの底面のこと)は丸型をしています。
実印の印鑑登録は多くのルールがある
実印を作る場合
一方、実印を作る(印鑑登録する)場合は多くのルールがあります。まず、在留カードなどに記載されている名前が彫られた印鑑を、居住している自治体の役所に登録申請する必要があります。他にも、
・市区町村に住民登録している15歳以上。
・同一世帯で同じ印鑑は登録できない。
・登録できる印は1人1点。
・ゴム印など変形しやすいものは登録できない。
……などのルールもあります(自治体によって異なります)。
印鑑登録できる印影(紙に捺したはんこ)のサイズは、ほとんどの自治体が「一辺が8㎜以上で25㎜以内の正方形に収まるもの」としています。中には「6㎜以上」「7㎜以上」とする自治体もあります。
印面に彫る文字は、在留カードに記載されている名前のファーストネーム(名)でもラストネーム(姓)でもフルネームでも構いません。アルファベットでなくてもカタカナや漢字(音訳)でもOKです。
また住民票の「通称」欄に記載されているものなら、通称の全部や通称の姓・名、姓と名の一部を組み合わせたものでも可能です(自治体によって異なります)。
印鑑登録できる印影(紙に捺したはんこ)のサイズは、ほとんどの自治体が「一辺が8㎜以上で25㎜以内の正方形に収まるもの」としています。中には「6㎜以上」「7㎜以上」とする自治体もあります。
印面に彫る文字は、在留カードに記載されている名前のファーストネーム(名)でもラストネーム(姓)でもフルネームでも構いません。アルファベットでなくてもカタカナや漢字(音訳)でもOKです。
また住民票の「通称」欄に記載されているものなら、通称の全部や通称の姓・名、姓と名の一部を組み合わせたものでも可能です(自治体によって異なります)。
一例として、東京都大田区のウェブサイトでは、「CLARK THOMAS ANDREW」の印鑑登録例を紹介しています。姓と名の一部を組み合わせる場合、「THOMAS ANDREW」、「CLARK T ANDREW」、「CLARK T A」のいずれも登録できます。
ただし、イニシャルやニックネーム、意訳された漢字、職業や生年月日が入ったものなどは印鑑登録できません。
特に意訳文字(例:アンジェラ〈Angela〉→天使など)を彫った印鑑は、観光客向けのお土産ではよく見かけますが、実印を作る場合は不可となるのでご注意を。
外国人の印鑑は、はんこの専門店で注文しよう
ここまで、外国人が印鑑・はんこを作る時に気を付けるポイントについて解説しました。
銀行印を作る場合は、基本的にアルファベットやカタカナなど問いませんが、実印の場合は多くのルールがあります。印鑑登録する際は、お住まいの最寄りの自治体に相談するのが安心です。
印鑑は100円ショップなどでも販売されていますが、外国人の名前を彫った既製品はあまり置いていません。専門のはんこ屋さんで注文しましょう。きっと満足できる印鑑を作ってくれますよ。
また、注文をするときは、印鑑の材料にも気を付けてください。
印鑑には野生動物の資源(ゾウや牛など)を使った商品が多くあります。中でも象牙は代表的な材料として知られていますが、ゾウの個体や部分、派生物(象牙製品など)は、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」において輸出入が原則禁止されています。
そのため、例えば外国人労働者が母国へ象牙の印鑑を持ち帰る際は、外為法に基づく必要な手続きを取らないと法律違反になります。「日本では象牙の輸出入が原則禁止である」ということを理解した上で、印鑑の材料を選ぶと安心です。
※外国為替及び外国貿易法…日本と他国間の資金、財・サービスの移動といった対外取引や、居住者間の外貨建て取引に対して適用される日本の法律。貿易や外国為替を規制することで「日本経済の健全な発展を目指す」ことを目的としています。