個人が口座を開設するとき同様、法人が銀行で口座を開設する際にも代表印の他に金融機関への印鑑の届け出・登録が必要になります。この印鑑を法人銀行印(もしくは単に「銀行印」)と呼びます。株式会社、NPO法人、合同会社、社団財団法人等が使用するもので、通常団体名を刻印して使用します。会社の資産管理に関係する、代表者印とならんで重要な印鑑といえます。
- 銀行など金融機関で法人の口座を開設するとき
- 口座からの出金
- 口座振替や小切手・手形への押印
法人と金融機関との取引に使われる重要な銀行印。どのように作ればよいのでしょう。ここでは印材、サイズ、刻印内容、書体ついて説明させていただきます。
法人銀行印に適した印材
金融機関での取引に用いられる銀行印。銀行の口座印にするときは印影を登録し、照合に使用することになります。したがって破損して印影が変化してしまったりすると不符合となり、改印手続きをする必要が出てきます。このような面倒を避けるならば、耐久性に優れた印鑑を作ることが勧められます。
耐久性に優れた印材としてはチタンが挙げられます。金属なので耐久性にすぐれ、適度な重量で捺印もしやすい印鑑です。他には彩樺のような耐久性の高い木材系印材なども良いでしょう。
銀行印は口座開設の際に印影が銀行のデータベースに登録され、以降の使用でも照合が行われます。この印影がたとえば破損などによって変化してしまうと元の印鑑との同一性の証明ができなくなるため、銀行印としての効力がなくなってしまいます。なるべく印影が変わらない丈夫な素材で作ることが必要となります。 この観点からは金属系のチタンなどの印材や硬い木材系印材などが好んで用いられます。また、会社の資産の扱いに直結する印鑑ですので複製されることは絶対に避けなければいけません。書体としては難読性の高い印相体など複製のしにくいものが人気です。
シャチハタやゴム印は使用に従って印影が変化していってしまい、印影が一定であることが求められる用途には向いていません。窓口で登録が許可されないことがほとんどです。
法人銀行印に適した印影のサイズ
法人銀行印として登録できる印鑑のサイズに特に決まりはないのが普通ですが、法人設立時にすでに代表者印を作っているか、もしくは同時に作ることが多いと思います。このとき代表者印よりやや小さく作ることが多いです。「辺の長さが1㎝を超え,3㎝以内の正方形の中に収まるものでなければならない」という法務局の規定があります。これと捺印の際の手のなじみやすさを考えると、直径16.5mm〜21mm程度の印鑑を選んでおけば間違いがないでしょう。下のオススメのサイズ表を御覧ください。
銀行印の刻印内容
回文と中文の意味を抑えておけば、内側の円と外側の円によって一目押し印を見ればすぐに内容を理解することができるというわけです。印鑑作成の際にまず抑えておきたいところです。
法人銀行印に適した書体
法人銀行印登録に際して書体の規定は通常ありませんが、運気を呼び込む書体、威厳のある書体などが好まれます。下にオススメの書体を表にしています。
まず個人実印と銀行印についても言えることですが、銀行印は会社の実印(代表印)とは別々に作るべきです。便利だからといって同じ印鑑を流用して登録してしまうと万一紛失や盗難などのトラブルが起きたときのリスクが大きくなりますし、金融機関との取引の際に代表者でない者に代表印を兼ねた銀行印を渡さなければならない場面が出てきます。
銀行印の紛失・盗難は絶対に避けなければなりません。個人銀行印の場合は、通帳や実印と別々の場所に保管するなどの対策が必要ですが、法人の場合は置き場所の問題のほかに銀行印に複数の人間が関わることがおおいことが問題で、さらに注意深い管理が必要になってきます。銀行印の管理者が多ければそれだけトラブルの原因ともなるので銀行印に関わる人間を限定すること、銀行印の保管位置を知っている人間を把握しておくことなどのセキュリティ管理が必須です。
また、銀行印を持ち出して使用する場合は際は持ち出す人間、返却予定日などを把握しておくことが重要で、このような管理体制・ルールをしっかり整えておくことでトラブルを低減させることが出来る他、万が一紛失や偽造などの問題が起こった時にも記録を参照することで原因を特定しやすくなります。
法人の銀行印を改印するときは、原則として代表者が手続きを行います。法人銀行印は会社の資産を引き出すことが可能な印鑑ですから、個人の銀行印の改印よりも本人確認は厳密に行われます。取引している銀行によりますが、旧銀行印、代表者印と印鑑証明書、登記謄本などが必要となります。前もって銀行の担当者に改印に際して必要なものを問い合わせておきましょう。
法人の銀行印は一般的に丸天丸もしくは丸寸胴という形で作成します。丸寸胴・丸天丸は印鑑業界では古くから使われている言葉で、丸寸胴は円筒形、丸天丸は中程にくびれがあり上が丸まっている形状ものです。単純な形の丸寸胴はコストを抑えて作成できること、複雑な形状の丸天丸は押しやすさと高級感が特長となります。会社設立時には代表者印と銀行印を同時につくることが多いので、この際代表者印は丸天丸、銀行印は丸寸胴のように分けて作成するのもひとつの手です。このようにすると取り違えのおそれが少なくなるという利点もあります。
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