開始点とは

文字の基点を表す開始点

法人印鑑が個人印鑑と大きく異なる点は、氏名以外の属性情報が刻まれている点にあります。個人の印鑑は自分の名前が刻まれているだけでなのでシンプルな作りですが、法人印鑑にはそれに加えて社名や団体名など、様々な文字を刻む必要が出てきます。その分、印文に刻まれた情報を読取ることは難しくなります。

これらを少しでも整理し、印文を見た人にもそこに何が書かれているかをわかりやすくするために、法人印鑑では二重の円になっている作りのものがよく見られます。このタイプのものでは内側の円と外側の円の間に別々の文字が刻まれています。内側の円内に刻まれている印文を中文、円外に印面を周回するように刻ままれている印文を回文と呼びます。

このうち通常会社名が記される回文は文字が円状に刻まれているため、どうしても読み始めがわかりにくくなります。この始まりの位置を示すためにつけられた点が開始点と呼ばれる記号です。別名「中黒」とも言われ、「・」を読み始め位置に配置します。

開始点は必要か?

結論から言うと、開始点(中黒)はあってもなくてもかまいません。代表印や銀行印の登記・登録上、開始点はとくに必要とは定められておらず、その有無は要件とはなっていません。従って、文字の読みやすさをどこまで考慮するかという、使用者の好みの問題となってきます。印鑑の作成を業者に依頼するときはこの開始点をどうするのかはお客様の考え方次第でどちらでも選択できるのが普通です。

開始点を使わない一つの理由

回文に社名や屋号名、又は団体名など色々な文字を刻む場合、開始点がある方が見る人にとっては分りやすいものです。従って、登録の際有無が問われないのならば開始点を入れない理由がなさそうに思えますが、必ず開始点を付けたほうがいいとは言い切れない事情があります。

それはどういうことかというと、開始点を付けることによって読み方の順番を示すということは、刻まれる情報に序列をつけること可能になってしまうということに関係があります。複数の情報に序列を付けたくない場合は、あえてつけないほうがいいという考え方もあるわけです。

大場
大場

実印や銀行印をアタリを付けて作成しているときは、印鑑の上下を取り違えるなどのおそれがないため、普通に上から読み始められる方向で捺印できます。なので、印文のレイアウトの美しさを重視して開始点を付けずに作成するというケースもよくあります。開始点をつけるか付けないかに関しては、このアタリの有無も判断材料として頭に入れておくのもよいと思います。